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おばあちゃんの葬式。8時に家を出た。
おばあちゃんの誕生日は3月16日、僕は6月13日だからちょうど逆さの数字。同じ丑年。運命みたいなものを感じる。僕はかなりのおばあちゃんこだった。小さい頃は相当甘えた。僕の母は四姉妹の長女で、長男の僕はおばあちゃんにとって初孫だったから、かなり可愛がってもらった。何となく波長が合うというか、おんなじフォルダにいる人間だなと小さい頃から思っていた。すごく安心できた。
ここ数年は全然顔出せてなくてごめん、と思う。でも多分、気にしなくていいよと言いそうな気がする。思い出は数えきれない。色々あるけれど、草餅もう一回食べたかったな。
就職しないでバンドをやると決めた後、母とちょっと険悪になって会話がない日々が続いた時期があった。そんなある日おばあちゃんちに行って、農作業を手伝っていたらおばあちゃんがそのことを僕に話し始めた。珍しいなと思った。「就職しないんだってー?」「そうなんだ〜。お母さんけっこう怒っちゃってて」「大丈夫、トモは何でもがんばってやる子だったから、何やっても大丈夫だから、好きにやればいいよ」。そう言ってくれた。そうか、おばあちゃんがそう言うなら多分大丈夫だなと思った。あの言葉が今も僕を支えてる。まじありがとう。
家族葬だったけれど、母たち四姉妹とその旦那たち、孫は全員で10人、ばあちゃんやじいちゃんの兄弟も駆けつけて40人くらい集まった。
告別式の前、前室で親戚と「昨日の通夜の坊主、アップルウォッチしてたな!」というくだらない話で盛り上がっていたところ、従兄弟から「トモくん昨日木魚のリズムにノッて体動いてたから気をつけた方がいいよ」と言われた。みんな笑ってた。確かに昨晩、僕はそのバチ捌きに魅了され木魚をジトーっと見ていた。どうやら体が勝手に動いてしまっていたようだ。告別式が始まって、そればかりが気になった。動かないように、肩の力が入りすぎていたのか、終わった後背中がガチガチで痛かった。
いい天気だった。風強かったけど。風強いと、季節が変わるのかなって思う。きっと変わるよなあと思う。
式の後、親戚一同でおばあちゃんちへ。仏壇準備して、線香あげて、お茶。久しぶりにばあちゃんちに来たけど落ち着く。毎日ここにいるような気になる。自分が小さかった頃の、日曜日の夕方を思い出す。みんなで夕飯を食べる。テレビでまるこちゃんだか何かがやってる。もしくは相撲か、野球がついてて大人たちが話している。ビールの匂い。僕は未来について考えるはずもなく、ただその時間が永遠に続くような気分でいる。そんな感覚がふと胸の中に蘇ってきた。
20年ぶりくらい?に全員集まったから、いとこ10人で記念写真。その後、キャッチボールをした。楽しかった。キャッチボール、いい。良かった。
帰って仕事だ。忙しい。帰路、スピード違反で切符を切られた。ファックザポリス!だが、いとこの中に警察官がいるから、今日そんなこと思っちゃいけないな、と思い直す。もっとゆっくりやりなとおばあちゃん言われているんだきっと。そう思うことにした。